「素行が悪い」などと表現されることが多いですが、素行とはその人の行動や言動、今で言うならライフスタイルなども意味しています。
「素行が悪い」という表現は、その人の一般的な行動や言動、生活態度などを指しています。素行は、個々の人が日常生活で示す態度や行動の総体であり、その人の品行や性格を表す要素となります。現代の言葉で言えば、ライフスタイルや社会的な振る舞いも素行に関連する重要な要素です。
素行が悪いとされる場合、これは一般的な社会的規範や道徳観に合致しない行動が多く見受けられることを指します。これには、他者に対する尊重や配慮が欠如している、法律や倫理に反する行為が多い、責任感が薄いなどが含まれます。例えば、嘘をつく、他人の財産を破壊する、約束を守らない、他者を傷つけるなどが挙げられます。
素行が悪いとされる人々は、しばしば社会的な信頼を失い、人間関係や仕事、学業などの領域で問題を引き起こすことがあります。また、自身の行動が原因で孤立感や社会的な孤独感を抱えることもあるでしょう。これは、素行が悪いとされることが社会的なコミュニケーションや共同生活において支障をきたす可能性があるためです。
素行が悪いとされる場合、個々の背景や状況には様々な要因が影響しています。家庭環境、教育、経済的な状況、精神的な健康などが、その人の素行に影響を与える要素となります。適切なサポートや指導が提供されれば、改善の余地もあります。
素行の改善は、本人が自らの行動に対する意識を向上させ、社会的なルールや倫理に従う意識的な努力が求められます。また、適切なサポートがあれば、素行の改善が期待されることもあります。社会的な調和と共に、個々の人が健全な素行を築くことが、持続可能な人間関係や社会への貢献に繋がるでしょう。
厳密に考察すれば、遺伝的な要素もあるかもしれませんが、素行に影響する多くは育った環境ではないでしょうか。
素行が悪い親や家族のもとで育てば、子どもも知らず知らずのうちに影響を受けてしまいます。
そのために親子や祖父母と行動パターンや考え方、言動などが似ていれば、素行が遺伝すると見られてしまうかもしれません。
生まれつきのDNAで行動や言動に影響が出るというよりは、生まれたときから一緒に生活している人の性格や考え方、行動パターンの影響を受け、教育方針や育てられた環境が影響するということです。
直接的に素行の影響を受けるケース
外部から見れば遺伝のように感じられる、環境による影響は直接的に影響されるケースと、育った環境を通じて間接的に育まれるケースがあります。
直接的なのは「親や祖父母の言動や育て方」が直接影響するパターンです。
言葉が荒い、すぐに殴る、気が短いといった性格の親や祖父母のもとで育てられれば、子どもも素行が粗くなる可能性があります。
子どものころは親や祖父母をおそれて萎縮してしまう子もいるかもしれませんが、大人になってから親や祖父母と同じような行動を取るようになるものです。
タバコを吸う、お酒を大量に飲んで騒ぐ、人に嘘をついても平気でいるといった親や祖父母の行動パターンも似てしまうものです。
たとえば、親と遊びに行く約束をしたり何か買ってもらうという約束をしてもほとんど守ってもらえなかったという場合、その子どもが大人になったときに約束を破るのが平気になったりします。
平気で嘘をつく、他人に何か借りても返さない、手癖が悪いなどの素行も似てしまいがちです。
子どもにとっては親がやっていることは悪いことだと感じないことも多く、平気で真似てしまうのです。
子どもにとっては、親が行う行動や態度が悪いと感じないことがあり、それを平気で真似ることがあります。この現象は、子どもがまず最初に影響を受ける環境が親であるため、親の行動が子どもにとってのモデルとなり、学習や行動の基盤となることが背景にあります。
子どもは親の行動を通じて社会的な価値観や行動規範を学びます。親の行動が子どもにとっての「正しい」行動として提示されると、子どもはその行動を模倣することがあります。しかし、子どもは親の行動を客観的に判断することが難しく、特に幼い頃は親を信頼しているため、親が行うことは悪いことではないと受け入れてしまうことがあります。
親の行動が悪いとされても、子どもはその行動を模倣することがあります。これは特に、子どもが愛情や注意を求める際に、親の行動を真似ることで親との関係を強化しようとする行動が見られることがあります。例えば、親が悪いことをしてでも注目を浴びることがあれば、子どもも同じ手段を使って注目を浴びようとすることがあります。
親の行動に対する子どもの模倣行動が問題となる場合、親は自らの行動に注意を払い、良いモデルとなるよう努めることが求められます。また、子どもには親の行動を客観的に見つめ、独自の判断力や価値観を養えるように育てる必要があります。子どもとのコミュニケーションや良好な関係は、子どもの健全な成長において極めて重要です。
親が悪いとされる行動を真似ることが問題となる場合、教育や指導が必要です。子どもには、他者の行動を理解し、自己の判断基準を確立できるようになるスキルを養うことが求められます。良いモデルとなる親が子どもの健全な発達に寄与し、社会的な価値観を形成する上での基盤となります。
間接的に素行の影響を受けるケース
親や祖父母など家族の行動パターンが移ってしまうケースをはじめ、育った環境が素行に影響してくるケースも少なくありません。
たとえば「親が共働きでほとんど一人で過ごして放任主義」であったという場合、一人で寂しいからと悪いグループなどに入って、親はどうせ帰ってこないからと夜中まで遊び歩く素行の悪い子どもになる可能性が高まります。
一方で兄弟姉妹がいる場合には、親がいなくてもお互いに助け合う場合や下の弟や妹の面倒を見てしっかり育つパターンもあります。
親がほとんどいない家庭であっても、一緒にいる時間を大切に過ごすことや悪いことをしっかり叱ってしつけがうまくいっていれば、親が頑張っている姿を尊敬しながら親の言うことを守る素直な子どもに育つパターンもあることでしょう。
家庭内DVが素行に与える影響
近年、子どもの虐待や妻や夫に対するDVが問題になる事件やトラブルが増えてきました。
子どもを虐待して死に追いやってしまったり、DVで家族を傷つけている方の育った環境を調べると、自分も同じように虐待を受けたり、母親が父親からDVを受けている状況におびえながら育った人が少なくありません。
虐待を受け、親がDVを受けて辛い状態で育ったから、自分はそういった行動は取らないようにしようとはなりません。
なぜなら「愛情を受けて育っていない」ので、愛のある穏やかな家庭環境を知らないからです。
子育てや家族生活というのは暴力や暴言によって成り立つとインプットされて育ってしまっているので、大人になってからそれが出てしまうのでしょう。
素行は遺伝というよりこうした家庭環境によって育まれてしまうので、子育ての仕方や愛情を持って接することはとても重要と言えるかもしれません。