大都会：東京での素行調査。
いろいろと難しさはある。なんと言っても人の多さである。繁華街や朝夕の通勤時間帯での尾行については一瞬の間に人混みに紛れて消えてしまう。それこそ真後ろに付いていないと駄目な場合が多いのである。ただメリットもある。こちらも人混みに紛れて目立たないのである。地方ではなかなかこうはいかない。
車の尾行も同じである。東京は何しろ車の数も多いが信号機も多い。ひどいところだと１キロメートルの間に１０個、２０個は当たり前。いったん引っかかると前に車が入っていき、次第に車間が広がってしまう。
こうなると素行調査もままならない。現在ではＧＰＳ発信器なるものもあり、多少のカバーはできるが東京にはコインパーキングなども多く、車で目的地にまっすぐ行くとは限らない。近くに停めて歩いて移動する。駐車場に止めてある車を発見しても降りてどこかに行ってしまうと肝心な行き先が判らない。やはりきっちり目視して尾行する以外にはないのである。
また東京では簡単にタクシーが町中で拾える。後続の空車がいればよいのだがそうそう上手い具合に空車が来るとは限らない。
人や車が多く、交通手段も便利な大都会：東京、尾行する素行調査は探偵にとって本当に難しい。
東京の探偵は日頃から訓練をしておかないと駄目なのである。訓練がなかなかできなくても経験でカバーしていくしかないのである。