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素行で内定を取り消されるリスク

社員の素行

就職活動後に内定をもらって大喜びしていたのにあとから取り消されるケースが稀にあります。

一旦雇用契約を結んでしまえば、企業としては解雇がしにくくなります。

これに対して内定はあくまでも「採用の予約」みたいなもので、お互い合意すれば雇用契約に至るお約束の段階です。

そのため、内定を得た人が辞退して別の会社に入社することもできますし、内定を出した企業も経営悪化などの事情をはじめ、採用の基準に反する問題が見つかった、その後の行動で雇用が難しいトラブルが生じたなどを理由に取り消しが可能です。

素行調査による内定取り消し

内定を得た人が辞退するのは基本的に自由ですが、内定を出した企業の側が取り消しをするには相応の理由や事情が必要です。

いつでも気軽に取り消せるとなれば、内定を得た人の立場を不安定にしてしまうからです。

内定をもらって就活をやめてしまった学生さんなどの場合、取り消し後に新たに就活を始めても、既に採用活動をやめている会社も多くなっていて、新卒での就職が難しくなるケースもあります。

内定を取り消す相応の理由や事情として企業が不安視する要素の一つに「素行」があります。

最近では個人情報の観点やプライバシーの問題などからあまり表面的に行われなくなっていますが、業種や職種、ポジションによっては素行調査が行われることがあるので注意しなければなりません。

素行調査が行われやすい業種・職種

素行調査が行われやすい業種としては、まずお金を取り扱う「金融機関」が挙げられます。

銀行や信用金庫、証券会社や保険会社などが代表例です。

日々、多額の金銭を扱うことになりますので横領などのリスクや顧客の資金を勝手に流用することや持ちだすようなリスクがないかを素行調査から判断されることがあります。

借金トラブルを抱えていないか、ギャンブル癖がないか、交友関係や遊び方が派手でないか、身分相応以上の買い物癖など散財や浪費癖がないか、興信所や探偵事務所などに依頼して調査されることが過去にはありました。

家族や親族などに借金を抱えている人や罪を犯した人、なんらかのトラブルに巻き込まれている人がいないかを調査されることもあります。

家族や親族に対する調査は、様々な背景や目的から行われることがあります。これには、借金を抱えているか、罪を犯したか、または何らかのトラブルに巻き込まれているかどうかを確認するといった目的が含まれます。以下は、このような調査が行われる可能性がある状況についての考察です。

家族や親族の信頼性の確認: 法的な契約やビジネス取引などで、家族や親族の信頼性が問われる場合があります。これは個人の経済状態や法的な問題に関わることがあり、関係が深い場合には調査が行われることがあります。

資産や債務の明確化: 相続や財産分与の際、家族や親族が借金を抱えているかどうかや、適切な資産や債務の明確化が求められることがあります。これは法的な手続きにおいて重要な要素となります。

法的な問題や刑事事件の影響: 家族や親族が罪を犯したり、刑事事件に巻き込まれた場合、その情報は法的な影響を及ぼす可能性があります。調査はこれらの事実を明らかにし、関連する法的な手続きに備えるために行われることがあります。

ビジネス取引や提携の前提条件としての調査: ある家族や親族が経営する企業との取引や提携が検討される場合、その前提条件として調査が行われることがあります。これは企業の信頼性やリスクを最小化するための手段となります。

個人の安全性やセキュリティ対策: 家族や親族が何らかのトラブルに巻き込まれている場合、その情報は個人の安全性やセキュリティ対策に関わることがあります。これには身元確認や危険予知が含まれることがあります。

これらの調査が行われる際には、法的な制約やプライバシーの権利を尊重することが重要です。また、調査を行う側が正確かつ公正な手段で情報を収集することが求められます。

  • 銀行員
  • 証券マン
  • 保険営業職員
  • 雇われ士業
  • 社長・役員
  • システムエンジニア
  • プログラマー

素行調査が行われやすい職種としては銀行員や証券マン、保険営業職員をはじめ、雇われ士業として働くケースや社長や取締役など経営上の重要なポジションとしてヘッドハンティングする際に行われることがあります。

最近ではシステムエンジニアやプログラマーなどIT系の高いスキルを持つ方に対して、素行調査を行うニーズも増えてきました。

今の時代は直接、現金を流用する方法だけでなく、パソコンやシステムを使って金銭を少しずつ口座へ移転したり、登録されている顧客のクレジットカードを使って勝手に買い物をしたり、顧客情報や企業機密の取得や漏洩などが問題となることが多いためです。

内定取り消しのリスクを避けるために

近年では素行調査によって内定を取り消すということが公になれば、かえって企業が批判されることもあるので、大っぴらに行う企業はほぼありません。

内定取り消しのリスクを避けるためには、入社前から慎重かつ誠実な態度を持ち、適切な対応を心がけることが重要です。まず、内定をもらった後でも、入社前までの期間は企業との信頼関係を築く大切な時期です。

情報共有とコミュニケーションを大切にしましょう。内定を受けた後は、企業との情報共有と円滑なコミュニケーションを重視し、必要な情報や手続きに迅速かつ正確に対応することで、信頼を築くことができます。

質問や懸念事項があれば、遠慮せずに企業に質問し、明確にするよう努めましょう。不安や疑問を解消することで、後々のトラブルを防ぐことができます。

適切なマナーやルールを遵守することも重要です。企業には様々なマナーやルールが存在し、これらの遵守が内定取り消しのリスクを軽減します。コミュニケーションの取り方や業務の進め方、機密情報の取り扱いなどに留意しましょう。

他の求人への応募を検討する場合も、慎重かつ透明性を持って対応することが大切です。企業との誠実なコミュニケーションを欠かさず、状況を理解しながら進めるようにしましょう。

状況が変化した場合、例えば他の内定を受けたり、予期せぬ事態が発生した場合は、早期に企業に報告することが重要です。隠すことなく正直な対応を心がけ、信頼を損なわないよう努めましょう。内定を受けた際には、これから始まる新たな段階に向けて真摯な態度で臨むことが重要です。企業との信頼関係を築き、内定取り消しのリスクを避けるためには、誠実な行動とコミュニケーションが鍵となります。

また、素行調査をした結果、内定を取り消すなどと明確に理由を伝える企業もまずありません。

企業側の経営上の問題などと誤魔化されるのが一般的です。

そのため、内定をもらった企業が素行調査をする企業なのかどうかもわからないわけですが、内定取り消しのリスクを避けるためには、内定をもらったからと油断せず、日々の行動に気を付けることが大切です。

内定後に借金を重ねたり、派手に遊んだり、ギャンブルをしたり、怪しいお店への出入りや派手な人間関係は抑えるようにしたいものです。